どこにいても日本の味を:フランス在住 栄養士、料理研究家 フェレ史恵
- 友里江 古谷
- 4月6日
- 読了時間: 3分
更新日:4月7日

フランスでお料理教室講師や栄養士として活躍されているフェレ史恵さん。
海外で日本の味を伝えるために意識されていることや、異国で自国の文化を伝えることの面白さについて伺いました。
異食文化を伝えること
日本食を作る時に必要な日本特有の調味料。
もちろんフランス人にとっては身近なものではありません。
馴染みのない食材について、それを使う意味から丁寧に説明することをとても大切にされています。

例えば、「みりんとは?」「日本のお米とフランスのお米の違いは?」「お米はいつまで研いだらいいの?」
など日本人にとっては普通のこともフランス人からしたら不思議な点も多く、その点も省かずにわかりやすく丁寧に伝えます。
単に食を楽しむだけでなく、その裏にある文化背景も理解してもらうことそれが食育にもつながります。
日本の食文化を身近で楽しんでほしい
フランスで日本の味を再現することは、単に日本のレシピを持ち込むだけではなく、現地の食材や食文化と調和させることが重要。
せっかく日本食を学んでも簡単に実践できなかったらもったいないと考える史恵さんは
現地の簡単に手に入る食材を使いながら日本の味を再現できるレシピを考案されています。


今回の取材にあたり、史恵さんオリジナルレシピの黒糖まんじゅうを作っていただきました。

実は黒糖の代わりにココナッツシュガーが使われています。
黒糖は大きなアジア食材店まで行かないと手に入らないのですが、ココナッツシュガーであればスーパーで手に入れることができます。
合わせてフランス産の蜂蜜を使うことで黒糖のようなコクも増すのだとか。
現地ならではの反応を楽しむ
グルテンフリーなどのヘルシー志向のレシピや、お好み焼きや唐揚げなどの日本の伝統的な家庭料理が人気。
料理教室では思いがけない反応が生まれることもあるそうです。

例えば、おにぎりを作る際にフランス人の生徒たちが円柱型にしてしまったり、お好み焼きの材料を見て「キャベツと小麦粉と卵を焼いただけなの?美味しくなさそう」と驚かれたりしたり。
日本では起こらないであろうリアクションを楽しみながら、日本の食文化を伝えています。
現地の人により愛されるように
伝統的な日本の味を単に再現するのではなく、より現地の方に愛されるようちょっとした工夫もされています。
フランス人の場合、バターやクリームの風味に慣れているため、それらを使わずにおいしさを引き出す日本食や
和菓子の新しい味を体験してもらうようにしています。
そして和食ならではの美しい盛り付けや食器類も季節に合わせて楽しんでいただけるよう意識して組み合わせています。

海外生活と挑戦の楽しさ
フランスに限らず、海外で生活することには多くの挑戦が伴います。
言葉が通じなくても「何とかなる」という気持ちを持つことが大切で、
語学が完璧でなくても、コミュニケーションを取りたいという意欲があれば、意外と乗り越えられるものです。
料理を通じて人と繋がることができるのも、国を超えて食文化を伝える醍醐味。

海外の方だけでなく、在外日本人の心の支えになる日本食。
そんな大事なものを伝え続けていくとても素敵なお仕事を拝見させていただきました。
史恵さんのインタビュー動画はこちら
写真・文 YURIE FURUYA