日本人のいない小さな村で、26歳の彼女が見つけた暮らし
- 3 日前
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今回の主人公は、フランス南西部オクシタニー地方、 トゥールーズから約100キロ離れた小さな村「サンタントナン」で暮らすHonoさん。
1999年生まれ、取材当時26歳。
日本人がひとりもいないこの土地で、パートナーと愛犬のバンピーと共に静かな日々を送っています。
フランスに初めて訪れたのは2023年。
3ヶ月間ボルドーに滞在した際、現在のパートナーと出会いました。
そして2025年の夏、結婚を機にこの小さな村へ移住。
自然に囲まれた新しい暮らしが始まりました。
フランスに来た経緯

日本では、パティシエとして働いていたHonoさん。
製菓学校に通っていた頃、フランスLyonの提携校へ留学する予定だったそうですが、コロナ禍でその夢は叶わず。
卒業後はパティスリーへ就職し、忙しい日々を送っていました。
1日15時間働くことも珍しくなかったという当時。
パティシエ2年目の頃には、仕事と家を往復する毎日に心も体も疲弊していったと言います。
「体に鞭を打って働いているけれど、私は何のためにパティシエになったんだろう」
もっと人を幸せにしたくて選んだ仕事だったはずなのに、いつしか自分自身に鞭をうって働いていたそう。
一時は「死にたい」と思うほど追い込まれていた彼女。
それでも、「どうせ死ぬなら、せめてずっと行きたかったフランスに行ってからにしたい」
その想いを胸に退職を決意。
お金を貯め、フランスへと旅立ちました。
フランスで変わった価値観

「日本にいた頃は、休日もずっと仕事のことを考えていました」
休みの日でさえ、“パティシエらしく過ごさなきゃいけない”と思っていたというHonoさん。
有名なお店へ足を運び、業界の人に会いに行き、常に“将来のため”を考えて行動していたそうです。

そんな生活は、フランスで今のパートナーと出会ってから少しずつ変わっていきました。
彼は、夏はカヤックのインストラクターとして働き、それ以外の季節は父親と共にアウトドア関係の仕事をしているそうです。
一緒に過ごす中で、「仕事は人生そのものではなく、人生を支えるための一部なんだ」
そう自然に思えるようになっていったと言います。
以前のように、「こうしなきゃ」という考えに縛られることも少なくなったそうです。
川のほとり、何もないを楽しむ村暮らし

2025年8月。
結婚を機に、日本人が誰ひとりいないこの村での暮らしが始まりました。
現在ふたりが暮らしているのは、川のほとりに建つ小さなお家。
広い敷地には竹林が広がり、その先には大きな崖を望む景色が広がっています。

「この崖を見ながら庭でお昼寝する時間が、いちばん幸せ」
そう話しながら、裏庭へ案内してくれました。
敷地内からそのまま川へ降りることができ、休日には自家用のカヤックを漕いで町まで出かけることもあるそう。
「こっちに来てから、お金をかけなくても最高の休日を過ごせることを知りました」
この村には、娯楽施設はほとんどありません。
日曜日にはお店も閉まり、町は静けさに包まれます。
それでも、「何もないからこそ、自分たち次第で楽しみはいくらでも見つけられるんです」
そう笑顔で話してくれました。
異国の小さな村で、静かに力強く生きる

今回の取材で印象的だったのは、26歳という若さで、日本人がひとりもいないこの土地に根を下ろし、静かに、そして力強く暮らしている彼女の姿でした。
「将来に不安はないですか?」
そう尋ねると、「国際結婚だからこそ沢山話し合ってきたし、お互いが一番の味方だって信頼できているから、不安はあまりありません」
そう穏やかに答えてくれた言葉が、とても印象に残っています。

鳥の鳴き声だけが聞こえる、静かな川のほとり。
これから植物を植えたり、家庭菜園を作ったりするのが楽しみだと話すHonoさん。
5年後、10年後。
この場所でどんな景色を見ながら暮らしているのか、今からとても楽しみです。
写真・記事:Natsumi Sugeta

