top of page

パリから初めての田舎へ「止まない雨はない」ブルターニュ暮らし

  • 1 時間前
  • 読了時間: 3分


今回の主人公は、フランス北西部ブルターニュ地方で暮らすAyakoさん。

Guingampという町から車で20分ほど。

海にもほど近い自然の中で、馬3頭、鶏、犬、猫、そして家族3人で暮らしています。

大きな門をくぐると現れるのは、1792年に建てられた歴史あるお屋敷。

この邸宅は「Manoir de Lezuel」

Gîte(貸別荘)としても貸し出しているそう。




家ではなく、村に恋をした


2022年、Ayakoさんは約20年間暮らしたパリを離れ、ブルターニュへ移住しました。

きっかけは夫・ファブリスさんのひと言。

「いつか田舎で動物たちと暮らしたい」

その夢を叶えるため、家探しの日々が始まります。

4年かけて辿り着いたのが、このブルターニュでした。

実は最初、この家そのものには強く惹かれなかったと言います。

ところが不動産屋に案内された近くの村を訪れた瞬間、心が動きました。



村の真ん中を流れる小さな川。

石造りの家々が並ぶ穏やかな街並み。

ゆっくりと流れる時間。

「娘がこんな場所で育てたら素敵だな」

そう思ったのが、現在暮らす家のすぐ近くにあるPontrieuxという村でした。

家に一目惚れしたのではなく、村に恋をした。

それが移住を決めた理由だったそうです。



支え合いの中で暮らす


Ayakoさんもファブリスさんも、田舎暮らしは初めて。

DIYの経験もなければ、植物についての知識もありませんでした。

実際に暮らし始めると、防水工事や配管のトラブルなど予想もしなかった問題が次々と起こります。

そんな時に支えになったのが近所の人たちでした。

床上浸水した時も。

嵐で壁が崩れた時も。

誰かがすぐに駆けつけてくれたと言います。

最初の頃は、お礼にお金を渡そうとしていたそう。

けれど村の人たちとの関係は、それでは築けなかった。



助けてもらったら、自分のできることで返す。

その積み重ねの中で、少しずつこの土地の暮らし方を学んでいったと言います。

便利さでは都会に敵わないかもしれない。

それでも何かあった時に頼れる人がいる安心感は、何ものにも代えがたいものなのだと感じました。



片道40分の送り迎え、田舎の特権


この村に引っ越してきて大きく変わったことの1つに、13歳の娘さんとの時間があります。

娘さんが通う学校は隣村にあり、送り迎えには片道20分。

来年からはさらに遠くなり、片道40分になるそうです。

思わず「大変ですね」と言いかけた時、

Ayakoさんは笑いながらこう言いました。

「これが田舎の特権なのよ」

思春期の娘と毎日同じ景色を見ながら過ごせる。

どんな朝も隣に座り、同じ時間を共有できる。

その何気ない時間が、かけがえのないものなのだそうです。



「止まない雨はない」を教えてくれた場所


ブルターニュはフランスでも雨の多い地域。

「一日の間に四季が巡る」と言われるほど天気が変わりやすいそうです。

雨が降っていると思ったら、5分後には眩しいほどの青空。

反対に、晴れていたからと洗濯物を外に干して出かければ、突然の大雨に降られることもあります。

自然と共に暮らすということは、思い通りにならないことと向き合うことでもあります。

予想外の工事。

突然のトラブル。

そんな時、Ayakoさん夫婦には決まった合言葉があるそうです。

「落ち込んだら散歩に出よう」

歩けば風景が気持ちを整えてくれる。

雨が降っても、また晴れる。

ブルターニュではそのことを毎日のように実感します。

「止まない雨はないって、本当にここで暮らして思うのよ」



世界を舞台に活躍してきたAyakoさんが、今大切にしているもの。

窓の外を歩く馬たちの姿。

娘さんとの送り迎えの時間。

そして雨上がりの空に現れる虹。

特別な何かではなく、何気ない日常の中にこそ幸せがある。

そんなことを教えてくれるブルターニュの暮らしでした。




写真・記事:Natsumi Sugeta


 
 
​ヨーロッパの暮らしを伝えるメディア  toc-toc 巡る暮らしとヨーロッパ

© 2025 toctoc222 All rights reserved

bottom of page