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優しさを刷る パリ在住版画家 あべさやか

  • 執筆者の写真: 友里江 古谷
    友里江 古谷
  • 9月20日
  • 読了時間: 3分


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パリ在住版画作家のあべさやかさん。

壁いっぱいに作品が飾られた素敵なアトリエで、ご自身の版画作品を日々創作されています。

アートの溢れるフランスという国で、作家として活動することについてお話を伺いました。



始まりは偶然の出会い

子どもの頃から絵を描くのが好きだったさやかさん。

デザインを学んではいたものの、日本では中々チャンスを得られなかったそう。


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そんなある日、偶然カルチャーセンターで銅版画の教室を見つけます。

道具を使って版をつくり、インクを詰めて刷り上げる過程から生まれるアンティークな風合い・・・

まるで魔法のように浮かび上がるイメージに、少しずつ夢中になっていったといいます。


その後ヨーロッパで版画を学べるチャンスを掴み、現在の制作拠点であるパリに辿り着きます。


パリという街で作家をすること

さやかさんの作品にはパリの街をモチーフにしたものがたくさんあります。

ブティックやギャラリーでの販売に加え、グリーティングカード会社とのコラボレーションや絵本の挿絵も手がけてきました。



アートが日常に溢れているフランス。

一般の家庭にもアートがインテリアとして飾られていることがよくあります。


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「有名だから」ではなく「気に入ったから」作品を手にする。

そんな考え方が、作家活動を始めたばかりのさやかさんにとっては追い風だったといいます。

経歴や肩書きで判断されない、本質を見ていいと言ってくれる人々がいる街での活動は

アーティストにとってチャレンジでもあり、チャンスでもあります。


心のこもった手しごと

ここ最近ではプレキシグラスによる版画制作をされています。

より安全で扱いやすい素材に切り替えながら、今の生活に合った形で工夫を重ねているそう。

インクもオイル系から水性に変え、子どもや犬と暮らす家で安心して制作を続けられます。



さやかさんの版画作品にはいくつかの色が使われています。

パーツごとに少しずつ色を丁寧に重ねていきます。

同じ版を使ってもその都度インクの出方が変わってくるのも版画の面白いところ。


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「見た人の気持ちがふっと明るくなるような作品を届けたい」

さやかさんの作品は色や線のタッチなどが柔らかく、みていると自然と優しい気持ちになります。

この日も馴染みの雑貨屋さんに作品をお届け。



パリの街並みを描いた作品は観光客からも人気があり、日本人アーティストという背景に興味を持ってくれる人も多いそう。


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色や形が重なり合って生まれる版画のように、

パリでの暮らしの中で積み重なった経験や出会いが、さやかさんの表現を豊かにしているように思います。

そこから生まれた作品は、手に取る人の気持ちをふわりと軽くし、日々にそっと寄り添い続けてくれるはずです。


写真・文 YURIE FURUYA


取材動画はこちら





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