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重ねてきた時間を抱いて、私らしく演じる パリ在住 俳優 成田結美

  • 執筆者の写真: 友里江 古谷
    友里江 古谷
  • 10月18日
  • 読了時間: 3分
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パリで俳優として様々な舞台、映画に出演する成田結美さん。

母国ではない国で、その国の言語を使いながら役を演じる。

そんな環境で活躍する上で大事にされていることや、暮らしについてお伺いしました。



表現を羽ばたかせるために

フランス文学やフランス映画を4年間大学で学んだ結美さん。

俳優になりたい想いを胸に秘めていたと同時に、日本での生きづらさも感じていました。

学生時代に海外留学を経験していたこともあり、海外での活動を決意します。

表現者が守られているフランス。

そんな国で自分らしく羽を伸ばしながら表現することを選択します。


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レッテルは貼らない

結美さんが大切にしているのは、「人を国籍で判断しない」こと。

「私は日本人だから」「あの人はフランス人だから」

線を引かずに仕事の上でも、俳優同士として対等に向き合います。



フランスで演技を学んでいると「訛りを消せ」「アジア的な振る舞いを直せ」と言われることもあったそう。

最初はコンプレックスに感じていたことも、今では自分の強みだと捉えています。

「私の持つ訛りや文化があるからこそできる演技がある」

そう気づいたとき、自分のアイデンティティを誇れるように。


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自分の感覚や表現を大切に

フランスの演技の現場では、俳優が自分の言葉に合わせてセリフを変えることも多いそう。

俳優自身が「より自然に言えるように」と提案する自由があり、演者のアイディアが採用されることも。



フランスで生まれ育った役を演じるときは、

自分の人生では経験してこなかった仕草や言葉遣い表現しなければいけないため

「自分の中の日本」をいったん横に置くこともあります。

「でも、それでも消えないものが私の中にある」その揺らぎさえも、結美さんにしかできない表現です。




毎日のちょっとしたことも全部表現の糧にして

普段はご自宅でゆっくり過ごすのが好きな結美さん。

でもたまに自分がいかないようなところに行ってみたり、やってみたりするんだそう。

文化が違えば、仕草や行動も違う。

役で色々なバックグラウンドの人物を演じるため、日々の小さな経験や発見が演技の糧になるんだそう。


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渡仏して10年以上経つ結美さんですが、今でも発音レッスンも続けていているそうです。

気づいたことをノートに書き留めていたり、日々の小さいことでも表現に繋げていきます。


異国で「わたし」として生きること

たくさんの人を演じるからこそ、「わたし」の存在がより強くなる。

異質であること。それは時には孤独に感じることかもしれません。

海外で暮らしていると、気付かないうちにその世界に馴染まなければいけないと苦しくなったり・・・


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でも今までの経験全てが今の「わたし」を作る。

「わたし」であることが自分自身の最大の強みである。

結美さんのお話を伺ってとても勇気をもらえたような気がしました。



<結美さんの舞台出演情報>

ORSO (Félix Loizillon演出)

12月4-6日, 11-13日 Théâtre L'échanger




写真・文 YURIE FURUYA


取材動画はこちら



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