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美味しくなかった、あの日から パリ在住パティシエ Akira Takahashi 

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分


パリの街角にある、小さなカフェ。そこでデザートを担当しているのが、Akiraさんです。

カフェのデザートと聞くと、カウンターに並ぶ焼き菓子を思い浮かべる人も多いかもしれません。でも、Akiraさんがつくっているのは、食事の最後に、そっと運ばれてくる「一皿のデザート」

ちゃんとお皿があって、間がある。

今日は、Akiraさんがこの場所にたどり着くまでの話を聞きました。


30歳最後のワーキングホリデー

パリに来たのは、30歳の最後。ワーキングホリデーという制度を使ってでした。

「行けるなら、行ってみるか」そのくらいの気持ちだったそう。



美容師として働いていた頃、一度だけ訪れたパリ。

そのときに感じた「なんか、すごくいい街だな」という記憶が、ずっとどこかに残っていました。



パティシエにとって、フランスは本場。ワーホリの話を教えてくれたシェフがいて、気づけば話は、トントンと進んでいた。

結果的にビザも取れて、パリに残ることに。

「ラッキーでしたね」そう言って笑う感じが、とても軽やかでした。


美容師、花屋、そしてパティシエ

最初は美容師。そのあと花屋。今は、パティシエ。

一直線ではないけれど、どれも、ちゃんと地続き。



「全部、学校に行かないとダメだと思ってたんですけど、意外と、気持ちがあればできることも多いんだなって」

資格が必要な美容師以外は、現場で、手を動かしながら覚えてきたそう。

「手に入れたいと思ったら、飲み込んじゃうんですよね」

考えるより先に、体が動く。その感覚が、次の場所へ連れていきました。



始まりは「美味しくないケーキ」

転機は、花屋で働いていた頃。

ある日、親が買ってきたケーキが、たまたま、美味しくなかったそう。

「時間あるなら、自分で作ってみなさい」

その一言から、スイーツ作りが始まりました。



「美味しくなかったことに、感謝してます」

感動じゃなくて、違和感。「なんで美味しくないんだろう?」という引っかかり。それが、Akiraさんを動かしました。


花屋の感覚が、いまも残っている

Akiraさんのデザートは、味はもちろん、目でも楽しい。

でも、それは「映え」のためじゃない。

「ブーケって、どこから見ても綺麗じゃないといけないんです」

だからデザートも、正面だけじゃなく、どこから見ても、表情があるものにしたい。

お皿の向き、写真を撮る角度、決めすぎないけれど、なんとなく気になる。



美容師も、花屋も、自分が主役じゃなくて、相手に似合う形を探す仕事でした。

その感覚が、いまの一皿にも、静かに残っている気がします。


その先にあるもの

パリにはカフェはたくさんあるけれど、ちゃんとお皿でデザートを出す場所は、まだ少ない。

いつか、デザートとカクテルを楽しめるデザートバーのような場所をつくるのが夢だそうです。




これまでの一歩一歩には、手を動かして、考えて、自分で納得してきた時間がある。

その延長線の先で、また新しい「おいしい違和感」が、静かに生まれていくのだと思います。


写真・文 YURIE FURUYA


取材動画はこちら




 
 
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