失敗という言葉のない場所で 西フランス在住陶芸作家 門倉主樹
- 友里江 古谷
- 2025年9月6日
- 読了時間: 2分
更新日:2025年9月7日

今回の主人公は、西フランス在住の彫刻作家・門倉主樹(カドクラカズキ)さん
粘土を両手で包み、ゆっくりとろくろの上に置く。
形が少し歪んでも、それは取り除くべきものではなく、作品に宿る“痕跡”となって残っていきます。

「僕にとって失敗はあまりなくて。むしろその瞬間にできたかたちを大事にしたい」
そう語る主樹さんにフランスでの創作活動についてお話を伺いました。
そのままでいい
日本にいた頃は、整った彫刻作品を中心に制作していた主樹さん。
フランスに渡ってからは、ろくろをひく時間が増えたそう。
指の跡、わずかな歪み、削ぎ落とせなかった線。
それらを隠すのではなく、そのまま受け入れる。

「服の汚れが、その人の生き方を物語るように。土に残った痕跡も作り手の個性になると思うんです」
失敗と呼ばれるものが、むしろ作品を語る大切な要素になるといいます。
偶然を受け止める強さ
主樹さんは現在、さまざまなアーティストが共同で創作活動を行う区画にアトリエを構えています。
フランスのアトリエでの日々は、日本での制作環境とは少し違います。
アーティストたちは制作の合間に集まり、コーヒーを飲みながら語り合う。
言語の面で自分の思うように伝えられないことも。
でもその余白の時間が、自然に次の作品へのヒントになることもあります。
「完璧にしようとすると、かえって窮屈になる。偶然生まれたかたちを受け止めるほうが、作品も自分も自由になれる」

それは作品づくりに限らず、人生においても同じ。
失敗を怖がり動けなくなることより「そこから何が生まれるか」を楽しむ。
元々海外志向が強かったというわけではなく、縁により導かれてここにいる主樹さんの人生と重なる部分があるように思います。
この言葉は、私自身にもすっと重なりそっと背中を押してくれるように感じました。
フランスで活動を始めてもうすぐ1年。
もう少しフランスに残って制作を続けたいと考えているそうです。
言葉はまだ十分に話せなくても、作品を通じて伝わるものがある。

そして、土と向き合う時間のなかで「失敗はない」という哲学がさらに育っていくように感じます。
少し歪んだ器や、思いがけない線が走った壺。
それは欠点ではなく、作り手の時間や感情が宿ったしるし。

そこには、自由でのびやかな創作の喜びが静かに息づいていました。
写真・文 YURIE FURUYA
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